あきよししまの人生記録

私の人生ややこしい。いろいろと煩わしい心の中、断ち切るすべを模索中。

いろいろ狂いだしたのは、母の死、じゃなくて、この時

悪い予感しかしなかった。持ってきたお供え物を仏壇の前に置いてお線香を上げ、手を合わせてからくるっと振り返り、弟に「かなちゃーん、ちょっと向こうに行っててくれるかな?」と言った。かなめは言われた通りに茶の間を出て行った。私はいよいよ来たか、と思った。きっとこの人は何か言ってくるとずっと思っていた。母が死んでから家に来てくれる事なんてお葬式と最初のお盆だけだった気がする。

伯母は自宅で商売をしていたので、人の出入りは絶え間なく、近所のおばちゃんたちの集会所のようになっている事も多く、誰がどうしただのゴシップだらけで、どう見ても面白くはないのにみんなに合わせて笑っているんだろうな、と思わせる大人をいっぱい見た。ただ、これも小学生の時だけで、中学生になってすぐ母は死に、私も忙しくなったし、伯父は大好きだったが、足は遠のいていた。そんな関係なのに伯母がこのタイミングでうちに来た。

やはりそうだった。父に再婚の話を持って来たのだ。どんな風に話をされたのか、あまり覚えていないが、「お父さんもこれから一人じゃ寂しいし、しまちゃんとかなめちゃんにもお母さんが必要だよ。」と言われたのは覚えている。まあ、取ってつけたような言い方だった。私も思春期の15歳。大好きなお父さんがお母さん以外の人と結婚⁉という感情はもちろんあったが、ゆくゆく私たちが家から出て行ったら一人になってかわいそう、とかは考えていたと思う。なのに私は泣き出した。そこじゃなかったのだ。この伯母からこういう話をされ、いかにも心配してます、助けています、を母の仏前でされている事が悔しかったのだ。「さっきお母さんに手を合わせながら、なんて報告したんだろう。」と思うと同時に、「この人は怖い。」と思った。